Rhythm & Hues

 創設11年。スタッフ数約250名。約200台のSGIを使用している。独立系のCGプロダクションとしては、ILM、Digital Domainに次ぐ大きさであろう。平均年齢が32歳とこの業界では比較的高い。またアメリカの技術的教育が遅れているということから、スタッフの約半数が外国人であり、国籍は32ヶ国になるという。また、ボストンをはじめ米国内の5ヶ所に在宅勤務者がおり、ネットワークを利用した共同制作環境が整っている。

 ハリウッドのCGプロダクションとしては唯一、保険や休暇などの福利厚生が整っている。勤続5年で5週間の休暇がもらえるそうだ。

 20名のプログラマが居り、PDIと同様にイン・ハウス・ソフトの開発を行っている。自社ツールに関しては、教育期間を設定して新人に対して有給で学ばせたり、常時新しいツールや改訂などに準じて訓練やレクチャーを行う教育スペースを設けている。また、ネットワークやシステムの保守管理に常時5名、総勢では30名のスタッフがいるという。

 AVID ROOMが2部屋、FLAMEが1台、INFERNOが2台あり、INFERNOはもう1台追加するそうだ。その他に、35mm、70mmフィルムのスキャニング、レコーディング、編集まで社内で行うことが出来る。AVIDはPDI同様、ストーリーリールの制作に使用しているとのこと。

AVIDルーム

フィルム編集室

サーバー室


 リズム・アンド・ヒューズの作品には、和歌山博の「シーファリ」、コカ・コーラの白熊、映画「ベイブ」、From AのCM等、日本でもおなじみの作品が多い。得意分野は、キャラクター・アニメーションと大画面映像である。最近の作品は、ラスベガスのスタートレックライド映像、ディズニー・ワールドのアニマルキングダムにある4D作品等がある。現在は、映画「ベイブ2」を制作中で、順調に進めば米国で11/30公開とのことだ。


モデリングルーム


 リズム・アンド・ヒューズは、新しい事業展開としてゲーム開発に着手した。「EGG AND STEEL」(日本名:ハローチャーリー)は、巨大な製鉄工場をちっちゃな卵の主人公が駆け抜けるというアクションゲームで、8〜14歳を対象としている。制作はプログラミングまで全て社内で行っており、3年の歳月と600万ドルの制作費ををかけているという。

 以前にもCGプロダクションがゲーム制作を行った例はあるが、いずれも失敗している。ゲーム制作と映像制作のノウハウは全く違ったものであり、ある意味無謀とも言える。

 リズム・アンド・ヒューズがあえてこの危険な事業開拓を行うのには、次のような理由が考えられる。

独立系のCGプロダクションである
 ハリウッドの映画会社がCG、SFXの内制化や系列化を進めてきており、映画向けのCG制作が独立系CGプロダクションにまわってこなくなっている。これにより自主制作の作品を打ち出すことにより、経営の安定を目指そうという考えである。

キャラクターアニメーションが得意
 同社が他の失敗した会社と違うのは、キャラクターアニメーションが得意という点である。ゲームにおいてキャラクターは非常に重要な要素を持っており、これがゲームの設定とマッチすれば大ヒットする可能性もある。さらにキャラクター商品の発売等、二次的収入も考えられる。



社内には会社で飼っている犬が歩いている