Exhibition

 今年の機器展示には325社が参加し、新製品・新技術を展示した。開催前の大きな話題は、SGIがWindowsNT(以下NT)マシンを出展するかということであったが、今回は見送りとなった。その他の話題として、NT環境の展示がどこまで延びるかがあった。以前、CGの制作環境といえばSGIとMacintoshがメインであったが、数年前からWindows環境での製品が目立ち始め、その勢いはSGIを脅かすまでになった。昨年の勢いからすれば、今年はNTがSGIを圧到すると見られていたが、やはり一番大きなブースを構えていたのはSGIであり、今回の勝負は五分五分といったところだろうか。しかしソフトウェア展示ではNT版が非常に多く、「あの頃はSGIがまだ勢いがあったなぁ」と言われる日もそう遠い未来ではなさそうだ。

 今年の展示で目立ったソフトは少なく、ハードも多少速く安くなった程度だ。その中で目に付いたのが、イメージ・ベースド・モデリング関連のソフトと、モーション・キャプチャ、CGプロダクションのブースだ。そのほか気になったブースについて纏めておく。


Alias/Wavefront

 Alias社とWavefront社が合併してしばらく経つが、MAYAによって様々な技術やモジュールが一つに統合された。そのMAYAの新モジュール「MAYA CLOTH」が発表された。MAYA CLOTHは読んで字の如く、布地のアニメーション表現をMAYAに追加するためのモジュールである。デモでは、人物モデルに一回り大きな衣類のモデルを作成し、ボタンをポンと押すとふわっと人物の体にフィットしていた。しわのより方もとても自燃であった。さらに、アニメーションにも対応しており、モーション・キャプチャ・データを使って人物をダンスさせると、衣類も重力・遠心力などの物理法則に従い変形する。この自燃さには声が出なかった。

 また、Electronic Theaterのエンディングを飾った「Bingo」の完成版が披露されたほか、日立製作所が開発したTIPをMAYAのプラグインとして発表するなど話題が豊富だった。

 SIGGRAPHの開催期間中、Alias/Wavefront社はニチメングラフィックとの技術提携を発表した。これにより、リアルタイム系のCG(特にゲーム開発)への展開が考えられ、Softimageをますます脅かすこととなるだろう。


Softimage

 Softimage|3Dは、日本で見たデモと変わらない内容だったが、「Godzirra」のメイキングで人を集めていた。Godzirraの制作にはβ版のバージョン3.8が使われたそうだ。Godzirraのモデルデータは非常に細かく作られており、データ量も非常に大きいため、軽いモデルでアニメーションデータを作成し、それを最終のモデルに適用して作られたそうだ。Godzirraの動きはアニメータが全て手作業のキーフレームで作ったとのこと。デモにはNTマシンが使用されていた。

 その他には、Softimage|3Dの各種プラグイン、Softimage|DS2.0の展示があった。Softimage|3Dは、これからバージョン3.8、次世代レンダリングシステム「Twister」、次世代3Dシステム「Sumatra」へと進化して行く。アニメーション制作のスタンダードの地位はまだ揺るぎ無い。


Avid

 NABでは違った展示が見られるのだろうが、Avidはもはや映画製作には欠かすことのできないスタンダードになりつつある。当社でも使用しているMedia Composerは「Special Effects for Telavision」というコーナーでデモを行っていた。その他のコーナーは、「Feature Film Effects」「Warp While You Wait」「Film」「Paint for Film」「Finishing + Titling」というものであった。いずれもNTによるデモで、Macintoshは見あたらなかった。


Intel

 Intelといえばハードウェア・メーカーであるが、興味深かったのはそこで行われていた「Hands On」だ。そのHands Onが行われていたソフトは、「MAYA」「Softimage」「Avid Marquee」であり、当然全てNT版である。「もうSGIのマシンはいらないよ」という事なのだろうか。


REALiZ

 REALiZからは、撮影済みの映像や画像から3Dデータ等を抽出するソフトがいくつか発売された。「Stitcher」は映像・画像を自動的につなぎ合わせ、パノラマ画像を生成してくれる。「Stereo Modeler」「Real Modeler」は、2ヶ所以上の映像・画像から3Dモデリングを自動的に行う。「Match Mover」は映像から、ズームを含めたカメラの動きを抽出し、3次元のスタビライズを可能とする。


CGプロダクション

 展示会場内にはCGプロダクションやゲーム会社のブースも目立った。これらの会社は、リクルートを目的とした出展である。ブース前には、デモリールを手にした人々が真剣な顔でアピールをしていた。主な会社は、ILM、Pixer、Disney、PDI、Rhythm & Hues、Digital Domain、SQUARE等。


モーション・キャプチャ関連

 モーション・キャプチャ技術は数年前から登場し、ゲーム制作やキャラクター・アニメーション制作などで普及してきたが、いくつかの課題があった。今回出展された各社の製品は、リアルタイム、あるいはほぼリアルタイムで動きを反映できる点と、モーションデータを容易に編集できる点を強調しているものが多かった。